其れから俺は明るい茶色の髪の毛を黒色に戻し、出来るだけ周りに笑顔を振り撒けるようにと笑顔の練習をしたり、親切になれる人になりたいからと色々な努力を積み重ねて来た。

いつのまにか時は過ぎて俺は高校三年生になっていた。
其れで生徒会長を勤めていて学校の人気者になってしまい、知らない人から話掛けられる様になった。

「なんだ、涼ちゃんモテモテじゃん♪」

そう言って来たのは悠輝で、性格は三年生になっても全然変わっていない。陽気で天然でどこか単純。

「気のせいや。なぁ、唯?」

くすっと微笑むと俺は唯に同意を求めた。
唯はうーんと軽く唸ると

「気のせいじゃないって」

と小さく笑いながら俺の肩を叩いて来た。
首を傾けると言葉を濁らせて呆気無く俺は同意の意を込めて頷いた。

「お熱いねーっ俺こんな所に居て良いのかな?」

悠輝が妙に畏まった態度で此方を見据えるものだからその真意を突き止めると俺の頬に温かさが集中してきて顔を片手で覆う。

「え、ええんやで…?」

苦し紛れに発した言葉を受け止めた悠輝は「そっか」と溢してやんわりと笑みを浮かべる。
俺が照れている事は二人に知られていない為に余計に気恥ずかしくなった。
出来れば何となくでも気付いてほしかったりしたのは言うまでもない。