「八心思兼神ですか。ありがとうごさいます」
どうやらこちらのほうには詳しそうだ。
だが……、どこまで突っ込んでいけるのだろう。せっかく縁ができたのに、アブナい奴というレッテルを貼られるのも、なんだか嫌だ。
慎重に、質問を選ぶ。
「霊能タレントに河山寿春っているじゃないですか。あの人ってもしかして、八心思兼って通り名持ってません?」
「それは無いですね」
「そうですか?」
「神様の名前を通り名として賜るぐらいなんだから、その人、一部の人から神格視されてるってことでしょ?」
それはそうだろう。
「ってことは、一部の人らにとっては現人神ってことになりますよね?」
それもまた、当然の理屈だ。
「だとしたら、その人はもう神様なんだから、普通どの神とも被らない、オリジナルの名前を自分達で作ると思いません? 豊臣秀吉の豊国大明神とか、徳川家康の東照大権現みたいに」
確かにその通りだ。
全く言われた通りである。
河山さんの線は消えたか……。
なら誰のことだろうか……。
たいした問題でもないのかもしれないが、それが怨霊の天敵であるのならば、ぜひとも会っておきたい。

