輪廻怨縛

不安は尽きない。


久々に生命身体の危機を味わったばかりだ。


《削除しないと、削除削除》


だが削除するとしてもとにかく一度はクリックして、メールホルダーを出さなければならない。


《嫌だ嫌だ……、関わるのは嫌だ……》


川上さんは肝が据わってると言ってくれたが、少しも据わってなどいない。
たかがこんな文字の羅列なんかにこれほど怯えているあたしは、ただの臆病者だ。


せめて河山さんと顔見知りであったなら、すぐにでも相談できるのだが……。


だめだ、どうしても開く勇気が出ない。
さっき窒息という手段で死に追いやられそうになったこともあってか、かなり強い尿意を催してしまっているし、取り合えず家に帰ることにしよう。











申し訳ないが、ゴミを拾っている余裕はない。
バックを拾ってエレベーターを待つ。


チンというアラーム音を発てて、箱が到着した。3のボタンを押し、ドアを閉める。


猛ダッシュで玄関まで駆けると、カードキーを通して、力いっぱいノブを回して引いた。