杏side

さっそく会うことになったけど、かなり遅い時間。

どうしてあいつのために待たないといけないのよ!!


今日は駅近くにある公園で待ち合わせ。

夜の公園って怖い…早く来てよ!



「悪い。光樹がついて来るってうるさくて」

呼んだ本人遅刻してるし!

「へぇ…で、今日はどうする?」

佐原くんはあたしの隣に座って考え始めた。

もちろん間を開けて座られた。

「山崎、手出して。」

「手?」

手を出すと握られた。

ごつごつしてて骨っぽい…大きい手だなぁ…

「いきなりこんなことして大丈夫なの?」

隣に座るよりハードル高いような気が…

「限界が来たら離す。」




黙ってるの嫌だなぁ…何話そう?

「リツちゃんと付き合ってたんだよね?」

話す内容が見当たらなくて、つい出てきた言葉がこれだった。

「あぁ。中1の時半年ぐらいかな?リツには可哀想なことしたと思ってる。」

佐原くんが懐かしそうに言う。

なんか悲しそうな顔してる…何があったの?

「リツと仲良くしてくれてありがとうな」

ニコッと佐原くんが笑った。

カッコいい!笑った顔ステキ!

「最初すごく冷たかったんだよ。リツちゃん」

「あいつ人見知りだから。マネージャーとして自己紹介された時めちゃくちゃ小動物みたいだった。」

小動物…可愛かったんだろうな…

「へぇ…好きだったの?」

「好きじゃなかったら付き合わないだろ?」

それはそうね。なんかもやもやしてきた。




「今日はこれで限界!」

5分もしない内に手を放された。

手を放した途端すごく、まだ放さないでって思っちゃった!