舜side


「お兄ちゃん!起きなさい!朝だよ」

目を開けると、自慢の美人で可愛い妹が俺の顔をのぞいていた。

「おはよ」

「お兄ちゃんが卒業か…ちょっと寂しいな…一緒に行けなくなるし」

そう、今日は俺の中学最後の日

「奏がいるだろ?」

「そうだけど…」

奏とは弟のこと。

「葵、着替えたいから」

「ごめん!先に降りとくね!」



ハンガーに掛けてある制服をとって着替えた。

今日でこの制服とおさらばか…


1階に降りると眠そうな奏と葵、それから葵とそっくりな母さんが朝ご飯を食べている。

「おはよう、瞬くん」

母さんは子供たちを呼ぶ時必ず“くん”と“ちゃん”をつける。

「おはよう…父さんは?」

「まだ寝てる。葵ちゃん、起こしてきてくれる?」

母さんが葵に頼むと、嫌そうな顔をした。

「お母さんが起こしてよ。」

「もう!」

そう言って、母さんは父さんを起こしに行った。

「兄ちゃんが卒業か…やっと学校に俺の時代が来る!」

奏は目が覚めたのか、いきなり変なことを言い出した。

「そうだな。」

適当に受け流すのが一番いい…




用意された朝ごはんを食べて、軽い通学用のバックを持って玄関を出ようとした時父さんが起きてきた。

「瞬、卒業式に行くからな。」

「わかった。」

めずらしい父さんが来るなんて



通学はだいたい兄弟一緒に行く。

これも今日で最後…



「おはよう!今日で3人を同時に見れなくなるのね…」


向かいに住んでる面白いおばさんに言われる。すれ違う近所のおばさんやお姉さんたちにも似たようなことを言われる。



俺たち兄弟はちょっとした有名人。



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