ユビサキからあなたへ

俺はうしろを振り向いて、軽く左手を挙げた。


「じゃあな。」


歩きだす。


恵は追いかけてこない。





あの時と同じだ。

意味もなく深呼吸をしたくなる。









でも明らかに違うことは、







これが本当に終わりだってことだ。


本当に、本当に最後なんだ。


そう実感すると同時に切なくなる。





恵と別れてから、いったいどれくらい涙を流しただろう。

もう涙で周りが見えない。