ユビサキからあなたへ

「よっ…洋介…。痛い。」


ドサッ


恵のバッグが音を立てて落ちた。




辺りに散らばる教科書、ノート、ペンケース。








バカ。

バッグのファスナー閉め忘れる癖…いいかげん治せよ。

両手の力が抜けた。

ふっと我に返る。

「ごめん…。」

かがみこんで散らばったバッグの中身を拾い集める。





最悪だ。

俺だってカッとなる癖、治せって話だよな。



恵と別れてから、いったい何回ため息をついただろう。