ツーツーツー…

暗い部屋に全ての終わりを告げる音が空しく響く。


俺は布団を被り直した。




言いたいことを半分も言えなかった。

俺がどれだけ恵を好きかを。
どれだけ愛しているかを。

恵のことなら何でも言える。

苺が好きなこと。
ナスが嫌いなこと。
オレンジ色が好きなこと。
犬が嫌いなこと。
好きな映画。
好きな歌手。
好きな女優。
好きなモデル。
好きな野球選手。
好きなお笑い芸人。

髪をひねったり、口をとんがらせたりする癖だって全部言える。

全てがこの5年間の積み重ねだ。


なのに出会って半年足らずの男に負けた。


悲しみより、

寂しさより、

悔しさが涙になった。