ユビサキからあなたへ

「洋介…。」


恵が口を開いた。

「どうしたの?」


「…ぁ…たし…あたしね…。」

恵の声はすでに枯れかけていた。

「あたし…。」


すすり泣く息遣いが聞こえてくる。

もしかしたら電話する前から泣いていたのかもしれない。

「何かあったんだな?大丈夫か?」



「洋介…。」

涙で言葉がつまっている。

こんな恵の声は聞いたことがない。