ユビサキからあなたへ

「由里!!」


友香が呼び止めてくれた気がした。





でもダメなの。


今は佳奈の顔も、


呼び止めてくれる友香の顔も見たくない。





ためらった一歩をもう一度踏み出し直して、勢いよく店から飛び出した。










足が動く。

勝手に動く。

立ち止まったら涙が溢れる。

早歩きの歩幅はだんだん間隔を増した。






走らなきゃ。

走らなきゃ。

走らなきゃ!




嫌なことを忘れるために。



一秒でも長く忘れるために。