ユビサキからあなたへ

3年生になって篠原と恵が違うクラスになっても、
俺は帰り道でキスをする篠原と恵を何度か見かけていた。

その度に俺は、隠れたり、違う道で帰ったりしてそれ以上見ないようにした。



わけもなく苛立ってしまうからだ。

恵を好きなわけじゃないと心に言い聞かせても、どうしても篠原に嫉妬してしまう。

そればかりか、嫉妬すればするほど俺の中で恵の存在が大きくなっていくのがわかった。

自分の気持ちに正直になれない自分が大嫌いだった。