あれはどの季節になるのだろうか。
春の終わりと夏の始まり
その間の時期。
居酒屋で行われたサークルの飲み会に参加した。
好きなタイプはどんな奴だの
前の恋人はどんな奴だの
同じようなネタを肴にし、
みんな無理にアルコールを口から喉に通し、胃袋に流し込んでいる。
彼女いない歴20年の僕には話すネタもなく、
周りと一緒にバカ騒ぎするほど理性がなくなることがなく、
必死でアルコールを流し込んだ。
いっそのこと
理性がとんでしまえばいい。
理性があるから、この飲み会で行われている一連のやり取りがバカバカしく感じられるのだ。
理性さえなくなれば、周りと一緒にバカ騒ぎをすることができる。
そうすれば
この時間を楽しむことができるのに。
「おい!お前、勢いスゲーな!飲め、飲め!!」
僕の前に顔を見たことがない先輩らしき人物が座った。
いかにもチャラいカンジの先輩だ。
「お前、名前なんていうんだ?」
「た、田中です。」
ぶしつけな質問だなと思いつつも、アルコールでかなり仕上がってきた僕は多少舌足らずな発音で答えた。
「下の名前は?」
嫌な質問だ。
田中太郎
必ず一度はいじられる。
しばし躊躇していると少し離れた席で数少ない同じサークルの女子を相手にしていた山瀬が大声をあげた。
「こいつ、田中太郎っていうんですよ!!」
その声は、よく響いた。
名乗るくらい自分で名乗りたかった。
山瀬にこんな風に言われてしまうと意味なく、引け目を感じてしまう。
「お前、田中太郎っていうのか?!名前の通りさえねーな!!」
笑いが起こる。
この状況には、いい加減慣れるべきだとは思うが、
嫌な気分だ。
僕の両親もどうして田中太郎って名前にしたのだろうかと何度も思った。
笑いが鎮まることがなく、口々に僕の名前をいじるヤジが飛び交う中、
「おい!!ガキ!!」
女の大きな声がした。
一同、静まり声のする方向を見た。
僕も、声の主であろう一人の女性に視線を向けた。
春の終わりと夏の始まり
その間の時期。
居酒屋で行われたサークルの飲み会に参加した。
好きなタイプはどんな奴だの
前の恋人はどんな奴だの
同じようなネタを肴にし、
みんな無理にアルコールを口から喉に通し、胃袋に流し込んでいる。
彼女いない歴20年の僕には話すネタもなく、
周りと一緒にバカ騒ぎするほど理性がなくなることがなく、
必死でアルコールを流し込んだ。
いっそのこと
理性がとんでしまえばいい。
理性があるから、この飲み会で行われている一連のやり取りがバカバカしく感じられるのだ。
理性さえなくなれば、周りと一緒にバカ騒ぎをすることができる。
そうすれば
この時間を楽しむことができるのに。
「おい!お前、勢いスゲーな!飲め、飲め!!」
僕の前に顔を見たことがない先輩らしき人物が座った。
いかにもチャラいカンジの先輩だ。
「お前、名前なんていうんだ?」
「た、田中です。」
ぶしつけな質問だなと思いつつも、アルコールでかなり仕上がってきた僕は多少舌足らずな発音で答えた。
「下の名前は?」
嫌な質問だ。
田中太郎
必ず一度はいじられる。
しばし躊躇していると少し離れた席で数少ない同じサークルの女子を相手にしていた山瀬が大声をあげた。
「こいつ、田中太郎っていうんですよ!!」
その声は、よく響いた。
名乗るくらい自分で名乗りたかった。
山瀬にこんな風に言われてしまうと意味なく、引け目を感じてしまう。
「お前、田中太郎っていうのか?!名前の通りさえねーな!!」
笑いが起こる。
この状況には、いい加減慣れるべきだとは思うが、
嫌な気分だ。
僕の両親もどうして田中太郎って名前にしたのだろうかと何度も思った。
笑いが鎮まることがなく、口々に僕の名前をいじるヤジが飛び交う中、
「おい!!ガキ!!」
女の大きな声がした。
一同、静まり声のする方向を見た。
僕も、声の主であろう一人の女性に視線を向けた。
