彼がその娘に気付いたのはある朝のことだった。 いつものようにぼんやりと川面を見下ろしていたら、視界の端に見慣れない美しい色が見えたのだ。 おや、と思って向こう岸を見やると。 ――そこには、はかなげな薄紅の衣をまとった、見たこともない美しい少女が立っていた。