散らないサクラ



ありのまま、裸の言葉が心臓に直に響き渡り、じんわりと熱を放出していく。

広がった熱は体中に這い回り、心地よい温度を届けてくる。



――――ありがとう。



「……俺も、てめえとの喧嘩は興奮した」



自然と上がる口角。

番犬はその言葉を聞いて、餓鬼の様に歯を出して笑った(痛そうだったが)。

心の平安に今なら言える気がして、口を開く。



「俺も、あり――――」

「秋羽ァ!!」



膝から崩れ落ちそうになる。

ンだよ、誰だよ。

緊張することなく、気張ることなく言えそうだったのに、糞野郎。

まぁ、感謝の言葉をすんなり言えねえ俺自身も悪いんだろうが。

怒りの満ちた顔で名前を呼ばれた方を見れば、歩が手を振って指を指す。



あの野郎、覚えてろよ。



心で悪態をつきながら、歩が指し示す指の先を見る。



「――――っ! ……ははっ」



驚きと共に、笑いが出る。


情けねぇが、その姿に酷く安心して、そして今すぐ抱きしめて欲しいと思った。



「……弥生」



届かない声で名前を呼べば、心なしか遠くにある顔がふんわりと、笑みを形どった気がした。

番犬が隣で溜息を吐く。



「あーぁ、ラブラブで羨ましいねぇ。……爆発しちゃえー」

「はっ、僻むなよ」