Cherryblossoms...03



心臓の音が、どくり、どくり、と全身に向かって脈を打っている。

重たい瞳を開ければ見慣れた天井がそこにあって(毎日使う仮眠室だ)、ここにいる前ま
での記憶を辿ると女とその周りに倒れている輩たちが出てくる。


そして血の色。



「……あか、いろ」



自分の手を目の前に持ってくる。

微かに残る赤色はやはり不快感しか生み出さない。



「お、目覚めたね」



大きく深呼吸を繰り返していると、ノックもなしに扉が開く。

またしても不快感。

俺は眉を寄せて入ってきた人物を見る。



「気分はどお? 仕方なかったとは言え、チュウした事は許してよね」

「…………」



アレの後だと言うのと、寝起きだと言うのでこの女の言っている意味が理解できない。

ぼわぼわ、と脳内で霧がかかっているような感覚が体を占める。