散らないサクラ



文化祭。

参加した覚えは皆無(と言っても小学校低学年まで参加してたが記憶は薄い)。

それがこの年になって?


はっ、馬鹿馬鹿しくて反吐が出る。


しかも、バイクがデカイ事と、力が強いと言う理由で買い出し係までやらされる始末。

投げ出しちまいたい所だが、仕方ねえ。

俺がここに来ると決めた時から面倒事は覚悟していたはず(予想外のもあったが)。

深くため息をつき、弥生が待っている校門へと足を向かわせた。



バイクに乗って買い出しを済まし、買ったもんを中に押し込む。

弥生も同じように自分のバイクに買い物をしまうと俺を見て、笑う。



「執事喫茶だっけ? 最近の学生って考えること面白いよね」

「黒王学園は進学校だろうが、ンなふざけた事していいのかよ」

「文化祭は祭りだよ。祭りの時くらい、そんな事を忘れて楽しめばいいんだよ」



だから、アンタも楽しめ、そう言って缶のお茶をこっちに投げる。

それを受け取ると同時に弥生の携帯が陽気なメロディーを発した。



「はい? ……そうか、うん。……いや、今近くまで来てるから。……時間はあまり取れないけど、うん。分かった、じゃあ」



携帯を閉じた弥生が向けた瞳が押し殺した色をしているのを見て、俺はなんの用件だったのか聞く事を忘れた。

そしてその後すぐ、寄るところが出来たから一緒に来るか、と問われ何も言わず頷いた。

今の弥生を一人にしてはいけない、そんなような気がしたからだ。





10分ほど走った先、色んな入り組んだ道を通り辿りついた場所。

純和風、木造のでかいお屋敷が目の前に広がっていた。