散らないサクラ



* * * *


「獅堂さん! 俺らはアンタの強さに惚れたんだよ! 弟子にしてくれよ!」



目の前に広がる光景に、俺は頭を抱えたくなる衝動に駆られる。

数人の男たちが土下座するような形で頭を下げている。


……いい加減にしろ、ボケ。



「断る」

「獅堂さん!」



名前は知らねえが、一度コイツ等と喧嘩をした。

喧嘩つっても、俺が売ったわけじゃなくコイツ等が売ってきた喧嘩を買っただけ。

まあ、勝敗はこの様を見れば分かるだろう。

俺は眉間のしわを更に深くさせながら、同じ目線になるようにしゃがむ。



「目障りだ、失せろ」



低く唸るとそれ以降口を開かなくなった輩を見下し、背を向ける。

と、同時に後ろから俺を呼びとめる声。

ああ、ここに来てから不快な事ばかり起きる。



「秋羽! ああ、もう! やっと捉まえた」



小さく荒い息を吐きながら俺を見上げたのは原沢だった。

怒りの表情が見え隠れする顔を見て、俺は次に何を言われるのか予想できた。



「文化祭の買い出し! 秋羽が買い出し係なんだから、ちゃんと買い物に行ってくれなきゃ困る。……なにその目は? ちょうど佐倉先生も買い物あるから、一緒に行こうって! 校門で待ってるらしいから、早く行って」



用件だけ告げると、忙しそうに俺の横を通り抜けていく原沢。