最初は“血塗りの獅子”だなんだのと怯えて近寄って来なかったかクラスメイトが、原沢を通じ、俺が危害を加えないと知ったらしく。
段々と俺に興味を持ち始め、話しかけ、いつの間にか親しくされるようになっていた(俺が荒れていないのも理由の一つだが)。
それに加え、血の気の多い男が俺に喧嘩吹っ掛けてきて制裁したり、俺の強さに酔狂した馬鹿が弟子にしてくれと騒ぎ出したり。
いい迷惑だ。
「原沢いい子だろう? あの子のお陰でクラスに馴染めたもんなんだから、感謝しなよ」
佐倉が寝返りを打って、俺と顔を見合わせる形になる。
面白い物を見るような目で俺を見るが、やはり嫌な気持ちにはならない。
俺は眉を寄せ、不機嫌そうに舌打ちをする。
「……俺じゃねえみたいで気持ちわりぃ」
「そんなもんだよ、初めは」
「つか、文化祭とか出席しなきゃいけねえのかよ」
「もちのろんでしょう。……ま、秋は別に逃げたっていいんだよ? 逃げたって、ね」
「……くそアマ」
悪態をつくと、楽しそうに声をあげて笑う弥生。
俺の勝手な思い込みかもしれねえ。
でも、こうして二人でいる時間が増えてからかどことなくお互いの距離が縮まった気がする。
それと同時に、もっと知りたい、近づきたいと言う欲望と共に、弥生の心が欲しくなる。
俺の好意と同等なものを欲しがってしまう。
……手を出してからそうは望まないと決めていたのに、人間の欲望は計るところを知らない。
自分の欲望を押さえつつ、俺は未だに笑う弥生の唇にキスを落とし、瞳を閉じた。


