タリドの館 ~そのオトコ、支配人~

「支配人って言ったよね?

他に誰がここにいるの」


タリドの足がとまった。


そして

振り返ることなく答えた。


「主人は十年も前に亡くなり

仲間達は館を離れました。


今では

貴女のようなお客様が

時々いらっしゃる程度です。」


表情はわからなかったが

声が沈んでいて

寂しそうな背中が

静かに物語っていた。