カチャッ


「お、飯塚。
忘れ物届けに来た。車の中に落ちてたんだ。
このクマのキーホルダー、飯塚のだろ?」


切れた紐にぶら下がった、ベージュのクマ。


いつの間にか、紐が切れて落ちたんだ…。


「え…。
これだけの為にわざわざ?」


差し出した私の手の平に、ポトンとクマが落ちた。


「通り道だったし、年季が入った感じだから、お守りなんかな?って。
夜遅くに悪いって思ったけど……飯塚?どした?
足、痛いか?」


クマを握りしめたら、涙が一人でに溢れて。


止まらなくなったんだ…。


先生が……


優しいから…。