「親父、お袋。」


先生が後ろの席に向かって走った。


「おめでとう、龍一。
幸せにな。」


「親父…。」


先生の目から一粒の涙が零れた。


「離婚してから、家にも帰らなくなったから心配してたの。
これからは、いつでも帰ってらっしゃい。

可愛いお嫁さん連れて。」


「お袋…。」


また一つ、涙が落ちる。


先生…親にまで逢いたくない位、心に深い傷を作ってたの?

なのに私…あの時先生を突き放した。


覚悟して、過去の告白してくれたのに…

余計に傷付けてたんだ…。