「時間になったので場所を移動しますね。」


ドアが開いた。


お母さんと二人、部屋を出て式場へと続く廊下を歩き出す。

「お母さん…今まで有難う。
そして、勝手に嫌っててごめんなさい。」


「私の方がだよ。
理恵には、母親らしい事何もしてあげられなかった。

嫌われても仕方ないと思う。

でも、こうして一緒にいられるのって、
理恵がいい子に育った証拠だよ。

おばあちゃんと…
龍一君に感謝しないとね。」


いい子なんかじゃないよ…。


そう思ってもらえるとしたら、きっと先生が変えてくれた。

人を許し、愛せる人間に…。