「ほぅら、何考え込んでるの?

次、体育だから更衣室に行くよ?」


頬杖ついて、ぼんやり考える私に、美咲がカツを入れてくれたんだ。


「あ、そうだったね。ごめん。」


慌てて体操着の入った袋を持って、美咲と更衣室に行く。


「ねぇ、理恵。
何かまた、難しく考えてるでしょ?」


廊下を歩きながら、美咲が聞いてきた。

「そんな事ないよ」

否定する私。


「うそ。
理恵は一人で考え込もうとしてる。
何年の付き合いよ、私ら。
いい加減、理恵の性格位見抜いてるっての。
多分、理恵のおばちゃんより、理恵の事知ってるかも?」


悪戯っ子な顔で、私を覗き見た。


そうかもね…。


お母さんより、美咲の方が私を知ってるかも。