暫く歩いて旅館に戻った。


「疲れたぁ。」


そう言って畳の上に大の字になって寝転んでゆっくり目を閉じる先生。


「理恵も寝転んでみな?
気持ちいいぞ?」


その言葉に私も、先生の隣にチョコンと寝転んだ。


「何で、そこ?」


え、此処じゃないの?


体を起こして先生を見ると右腕を指差していた。


「右腕が何?」


先生の言ってる意味が分からなくて、聞いてみた。


「腕まくら。
寝てみて?」


そう言って微笑んだ。


腕まくら…また恥ずかしくなってきたけど、伸ばした先生の右腕に頭を置いた。

その瞬間、先生が体の向きを変えて私を包み込んだ。


「一時間だけ…寝かせて…。」


固く閉じた瞼と共に先生が眠りについた。