「どうした?
浮かない顔をして。車によったか?」


考え事をしていた。

美咲の事。


「ううん。何でもない。」




コツン




先生が私の頭を軽く小突く。


「ごまかすな。
ちゃあんと顔に出てるっつうの。」


「ごめんなさい。」

先生にはお見通しだ。


「今ね、美咲、山口君に逢ってるの。」

「いんじゃね?
お前が心配する事じゃないだろ。

山口にするか、宮原にするかは、加山自身が決める事だからな。

お前が心配したってどうにもならんだろうが。」


「そうだけど…。」

「お前は、俺とのデートを楽しめばいいの。」


そう言って、私の頭を撫でてくれた。