「宮原君!!」


その声に廊下でたむろってる人達が、一斉に私を見て行く。

「理恵先輩?」


振り返って、目をパチクリさせながら、私をジッと見る。


「宮原君ちょっと」

腕を掴んで、すぐ近くの美術室へ入った。


「何ッスか先輩。」

「このままでいいの?
美咲を諦めちゃうの?」


誰もいない美術室に私の声が響く。


「仕方ないッスよ。山口先輩に敵わない。
だってあの人、完璧じゃないッスか。
美咲先輩だって……
俺を弟にしか見てない。

可能性…低いッスよ。

勝ち目ないッス。

相手が悪過ぎッスよ。」


いつもの彼とは違う、凄く弱気で…