「…さっ、もう授業始まる!席着こう!」 ひぃちゃんは私に気を使ってくれた。 その優しさは…私には酷だった。 でも授業が始まるのは本当のことで、私達は席に着いた。 久しぶりの授業。 相変わらずハゲている数学の先生は、難しい数式をバンバン書いていく。 「…明夏梨。」 ひぃちゃんは前を見たまま言った。 「もう、川田はいないんだよ…」 その言葉は、あまりにも重くて… 「…うん…」 私はこれしか、言葉が出なかった。