「ごめん、ごめん。待った？」

「そんな事ないよ。全然待ったよ。」

「どうしたの？あんた、何か変だよ。」

「私、振られちゃった。」

「え〜!? あんたの事、振るような奴いるの？それに、あんた離婚したばっかじゃん。」

「中学の時、同じクラスだった田中和樹君、覚えてる？」

「もちろん覚えてる。」

「ここに来る途中、偶然田中君に出会って、告白して、振られちゃった。」

「意味が分かんない。」

「私、中学の時、田中君の事好きだったんだ。」

「え〜!? 田中君、あんたのタイプと全然違うじゃない。
確かに、顔は悪くないと思うよ。かっこよくはないけど、可愛いかったし。
実際、田中君の事好きだって言う女子、何人かいたし。
まあ、田中君は、あんなだから女の方から告白しない限り気付かないんだろうけど。
あくまで、普通よりいいというだけの事であって、あんたが相手にするようなレベルじゃないでしょう。」

「私、高校の時、自分がすごくモテるという事に気付いちゃたんだ。
だから、みんながうらやむような相手と付き合ってきた。
でも、いつも心のどこかに田中君がいたんだ。」

「何で好きになっの？」