その声の主はのっそりと、窓枠から私の部屋へと降りる。 「お、来たか。サブロー」 サ ブ ロ ー ? 「え、…猫?」 そこにいたのは、一匹の黒猫だった。 「こいつな、いつも9時過ぎにオレんちの窓から部屋入ってきてんだよ」 9時。 「で、オレの布団に入っていっしょに寝てんだ。朝には帰るけどな」 外寒いだろうからさ、オレも入れてやってんの。 そう言って笑った佐々木さんは、何故か少し切なそうに見えた。