ガチャッというドアの開く音に気づき和樹は私が立っている方を振り返った。

「どうした?美流、寝れないの?」

私はコクッと首を縦に振って和樹のもとに歩み寄った。

「あ、お仕事してるの?私…邪魔になっちゃうよね…ごめんね。」

和樹が少し心配そうな困ったような表情をしていたが、私は和樹の仕事の邪魔になるんじゃないかと思い、それ以上なにも言わず、リビングを後にしようとした。しかしそれは、和樹が私の腕を掴んで離さなかったことによってできなかった。

え?っと困ったような表情の私に和樹は言った。

「遠慮しなくていいから、不安なときは頼っていいから、だから、無理するな。俺の前では素直になっていいんだよ。」

私はその言葉がすごくすごく嬉しくて、安心して、涙が止まらなかった。