「きゃあぁぁぁぁっ!」


「うるせー声出すなっ!!」


右耳を指で塞ぎながら、悠河が不機嫌そうに言った。


だけど、不機嫌なのは本当はこっちですから!!


「ちょっ、こっち寄って来ないでよ」


「狭いところじゃしかたないだろ」


「な、なんで悠河までお風呂入って来んのよ!」


自分一人分の夕食の片づけをして、帰宅が遅い悠河より先にお風呂に入ろうとした矢先の出来事だった。


脱衣所で下着を床に落としたと同時にガチャリと開けられたドア。


「「あっ……」」


悠河と目が合って数秒停止したものの、彼の目があたしの顔から身体に移ったのに気付いて、悲鳴を上げながら急いでバスタブに飛び込んだ。


鼻が隠れるまでお湯に顔をつけ、ブクブクと音を立てていると、何の躊躇いもなく恥じらいもなく、真っ裸になった悠河が浴室に侵入して来たのだ。


「侵入って……なんか響きが悪いな」


「勝手に人の心を読まないで!」