サクラノコエ

「謝るんなら、半分しか入っていないアイスコーヒーをごまかして出そうとしたお客さんにだろ? まぁさ……慣れてないから仕方がないけど、角倉さんの言うようにもうちょっと色んなことに気を付けなきゃダメだな。とりあえず、自分が客として店に来たときに、どうされたら嫌か、どうしてもらったら嬉しいかをもっと意識すれば、今日みたいなことは出来ないと思うからさ」

言いながら弁当をカバンから取り出し、再び田端に目を向けると、田端はなぜだか目を輝かせて俺を見て

「松永さん、カッコいいっすね!」

などと言ってきた。

バカにしている感じは受けないが、真面目な話に対してのこのふざけたような反応に、余計に腹が立った。

せっかく落ち着いて話をしたのに、これ以上田端と話すのは無駄な気がして

「二度と同じことするなよ」

と、俺はそれだけポツリと言葉を返し、弁当を開いてモクモクと食べるしかなかった。