サクラノコエ

弁当をカバンから出す気力もなくぼうっとしていると、クルールームのドアがノックされ、俺の疲れの原因、田端康明が入ってきた。

そういえば、田端は今日2時アップ(仕事を上がること)だった。

「お、お疲れさまです」

「お疲れ……」

「あ、あの。松永さん、さっきはすいませんでした」

思わず睨んでしまった俺の顔を見て、田端はビビっているようだ。

「俺に謝ったって仕方がないだろ?」

怒鳴ってしまいそうな気持ちを抑えるため、出来るだけ田端の方を見ないように棚に置かれた自分のカバンを取りに行きながら言葉を続ける。