癒しと言えば──

理紗を送っていった日から約二週間。話をしたのはあれ以来一度もないが、メールは一日一通ぐらいのペースで理紗から届くようになっていた。

内容はまるで独り言みたいで、デジカメで撮って縮小した写真が付けられているものがほとんど。

添付写真は、例えば、道ばたに咲いている小さな名前も分からないような花だったり、日溜まりで昼寝をしている猫だったり、この辺ではあまり見かけないような鳥だったり。

理紗がその日に出会った自然や、何気ないけれどなにかを感じた風景。

それらは「だから、なんだよ!?」と切り捨ててしまってもおかしくないような独りよがりなものばかり。でも、俺は不思議とウザいとは思っていなかった。

どのメールも俺になにかを伝えようとしている気持ちが写真や文章に表れていて、まるで桃香が俺に向かって一生懸命に話しかけてくるときみたいに純粋だ。

愛情を押しつけるような言葉の数々や、嬉しいとき、悲しいとき、ムカついたとき、と、事あるごとに送られてきていた美優からのものとは全く違うタイプのメール。

美優からの「会いたい」とか「大好き」などという言葉の連発よりも、理紗のメールの方が想いが詰まっているように感じるのは、俺の勝手な思い込みだろうか。