サクラノコエ


姉ちゃん帰ってきたのか?

なんで?

毎年、正月になると姉ちゃんと桃香は三日間ぐらい帰って来る。

けれど、いくら俺が引きこもって正確な日にちが分からないと言ったって、まだ正月には早すぎるはずだ。

少し体を起こし、ベッドの横にある目覚まし時計に目を向ける。

8時54分……

カーテンの下から日の光がもれていないということは、今は夜のはず。
なにかあったのだろうか。

姉ちゃんが帰ってきた理由は気になるが、桃香と顔を合わせるのは避けたい。

無邪気に寄ってくるだろう桃香に、こんな痩せこけた、笑顔にもなれない姿を見せたくはない。


俺は、とりあえず桃香が寝るまでのあいだ、いつにも増してじっと息をひそめて過ごすことにした。