サクラノコエ


段々と朦朧としてくる意識の中で、そんなことを思っていたときだった。

急に一階が騒がしくなったように感じた。

誰か来たのか?

軽快な音をたてて、誰かが階段を上がってくる。

廊下を歩く、普段は聞こえない歩幅の小さいパタパタとした足音。

小さな子供の声。

「ゆうちゃんは~?」

桃香だ。

「ゆうちゃんね、ちょっとお熱で寝てるの。だから「しーっ!」だよ」

小声で桃花に話しかける美奈の声。

「うん」

二人の足音と、「しーっ!」っと言う二人の小さな声が少しずつ、部屋の前から遠のいて行く。