サクラノコエ

「……痛っ」

「……なん…で…」

「ゆ、悠人、大丈夫……!? ごめん…ね」

息を切らせた母さんの声が途切れ途切れに、俺の頭の上で聞こえる。

「…んでだよ」

思い通りにならない、もどかしい気持ち。

うつぶせに転んだ体制のまま、今度は床にぶつけてみた。

「悠人! 落ち着いて」

しかし、母さんは床を殴る俺の右手を両手で取り、その動きすら押さえ込む。

「俺……俺なんか……」

苦しい。

母さんにすべての動きを封じられたことで、感情も一緒に無理矢理押さえ込まれたような気がした。

行き場のなくなった気持ちのモヤモヤが、涙という形になってボロボロと俺の目からこぼれ落ちはじめる。

「悠人……なにがあったの。母さんに話してごらん」

俺が抵抗しなくなったことを確認した母さんは、ひとまず安心したように俺の顔を小さく覗き込み、まるで桃香をなだめるときみたいな優しい口調で言葉を掛けてきた。

「おでこ、切れちゃってる」

言いながら母さんは自分の服の袖口伸ばして持ち、俺の額に軽く当てる。