サクラノコエ

ただ、訳も分からず何度も壁に頭を打ち付けていた。

胃液が逆流して苦みばしった口をすすぎながら

ひたすらに消えてしまいたくて

でも、自殺を図るほどの度胸はなくて

どうしたらいいのかもわからなくて

多分、自分の罪を消すために、自分を痛めつけることぐらいしか思い浮かばなかったんだと思う。

「悠人!」

いつから家にいたのか、いきなり背後から仕事に行っていたはずの母さんの甲高い声がした。

「なにやってるの! やめなさい!」

母さんは怒っているような、驚いたような声で叫びながら、俺の動きをあわてて制して来る。