サクラノコエ

「お前、なにしてたの?」

「桜見てた。なんだか悲しそうだなって」

「悲しそう?」

「チラチラって散ってくる花びらが、まるで桜の涙みたいだなって。儚い命を悲しんで泣いているのかなって。そう思ったら、私まで急に悲しい気持ちになって」

「お前、おもしろいこと言うのな」

桜を見上げながらそう言う村田理紗に、笑って言葉を返しながら、ふっと子供のころの記憶が蘇ってきた。

言われてみれば、同じような気持ちで桜が散るのを見たことが俺にもあったのだ。