「ごめんなさい!」

結局あの日、理紗はホテルに戻ってこなかった。

理紗から電話が入ったのは、次の日の昼過ぎ。仕事が休みだった俺がホテルを後にして、すっかり家に着いてからだ。

「俺がいないあいだに他の人格が出たんだろ? 気にすんなよ」

「……怒ってないの?」

「全然」

涙声の理紗に、俺は笑いながらそう返した。

理紗がケータイを持ち始めたのは、それからすぐのことだ。

「悠人くんともっと繋がっていたいから」

なんて、かわいいこと言って。