サクラノコエ

……やっぱり。

理紗の姿は、そこにもなかった。

あったのは、乱雑に脱ぎ散らかされた浴衣だけ。

咄嗟に理紗を探しに出ようと思った。

けれども、俺が再び部屋を空けてしまったら、万が一理紗が戻ってきたときに困るだろうと判断し、出しかけた足をひとまず踏み止まらせた。

俺は押し潰されそうな気持ちをグッとこらえて、とりあえず部屋の中を物色した。理紗からの置き手紙かなにかが残っているのではないかと考えたからだ。

しかし、どこにもそれらしいメモ書きは残っていない。

小さな窓から外を見下ろしてみる。

当たり前のように、理紗らしき姿は見えない。

大きな溜め息が漏れ、俺はそのまま崩れるようにベッドに腰を下ろした。