サクラノコエ

「でも家、急にメシ要らないとかいうのヤバいか?」

「う、ううん。大丈夫」

理紗も俺が避けた話題をそれ以上ぶり返すことなく話を進め始める。

「ご飯はいつも自分でしてるし、基本的に私が居ても居なくても、おばあちゃん気にしてないから」

「ばあちゃん?」

「中学に入る時から、おばあちゃんの家に置いてもらってるの」

「母親は?」

「真衣の母親は、どこかで男の人と一緒に暮らしてるみたい」

話の流れから初めて理紗の口から出た、今の生活環境。

ファンだと言って理紗がくれた手紙には『家が厳しくてケータイを持っていない』と書いてあったから、病気を知るまで俺はずっと理紗には厳しい両親がいるのだと思い込んでいた。

あの日カラオケボックスで話を聞いて、それが俺の勝手な思い違いということに気付いたけれど、ボクさんから真衣の過去についての話を聞いたことに気付いていない理紗に、俺からその先を聞くことはできなかった。

「そっか……」

ばあちゃんに引き取られてたんだ。