サクラノコエ

無理して作られた理紗の笑顔に対して、嘘の返事をすることは逆に失礼だと思った。

「悪ぃ。少し……」

俺は、あえて素直な思いを口にした。

「だよね」

それは正しい選択だったらしい。理紗は安心したような笑顔を見せた。

「真衣が?」

「うん。でも、傷が深いのは別の人格だと思う。一人いるの。真衣を嫌っている人格が。朝起きると、深く切りつけられていて血だらけなんて事も前はよくあったって、ボクさんが言ってた」

「ボクさん?」

「うん。そういう状況になったとき、いつも出ていくのがボクさんだから」

「……そっか」