サクラノコエ

露わになった理紗の左肩から10㎝ほどに渡って、切りつけられたような大きな傷跡が目に飛び込んできたからだ。

軽い傷ではない。何針も縫われた感じの深い傷。

よく見れば、以前目にした手首以外にも理紗の左腕には自傷行為で出来たのであろう傷跡がビッチリと刻まれている。

その激しすぎる傷跡は、一瞬にしてそれまでの熱を奪った。

激しかった動きを止め、急に体を起こした俺を不思議に思ったのだろう。理紗もそっと目を開けた。

俺はその視線から咄嗟に目を背けた。

きっと見てはいけない物を見たという気持ち丸出しの、もの凄く気まずそうな顔をしていたに違いなかった。

理紗はきっと傷ついたと思う。

それなのに、はだけた浴衣を戻しながら起きあがった理紗は

「見られちゃったね。ビックリしたでしょ?」

と、大したことじゃないというように小さく笑った。