サクラノコエ

「いいから浴びて」

いきなりこんな事を言われて、当然のように困惑の表情を浮かべる理紗に、今度は静かだけど少し強い口調で言った。

自分では笑顔を作っているつもりだけれど、きっと目は笑っていない。

我ながら、嫌な空気だと思う。

「……」

更に、唇を噛みしめ俯く理紗に俺は

「それから、出てくるとき、服着ないでほしい」

と、容赦なく嫌なことを付け加えた。

俺の行動がなにを意味しているのか、おそらく理解できていないであろう理紗にとって、それはある意味、屈辱的なことだっただろう。

理紗の目には微かに涙が浮かんでいた。

「これ着て」

俺はそれを見ないようにしながら、見つけたホテルの浴衣を理紗に手渡す。

俺の妙な圧力になにも言えなくなった理紗は、渡されるまま呆然とそれを受け取り、静かにシャワールームへと消えた。