サクラノコエ

理紗の冷え切った頬をそっと撫でながら

「ばぁ~か……」

と、いつもの調子で言葉を続けようと思った。しかし、それ以上、言葉を発することが出来なくなってしまった。

このままここにいたらヤバいと思った。

一刻も早く学校の前から離れたい。と。

そう思うと同時に、俺は理紗の手を握って強引に歩き出した。

俺の行動に理紗が困っているような気配を背後に感じたが、そのことには構っていられない。そんな切羽詰まった状態に俺は陥っていた。

人気のない路地に入り、俺はようやく足を止めた。

「ごめんなさい」

俺が怒っていると捉えているような、理紗の声。

「迷惑だったよね。私、悠人くんのこと考えなくて……」

さらに申し訳なさそうに続けられた理紗の言葉。

喉の奥が締め付けられるような感覚が襲う。