サクラノコエ

「はい。お弁当ここに置いておくよ」

「うん」

母さんの言葉に上の空で返事をしながら、俺は村田理紗の顔を思い出していた。

どんな顔してたっけ? 

マジメにオッパイしか覚えていない。

今日あたりとか店に村田理紗が来たら、俺はすぐに気付けるだろうか?

「ごちそうさま」

言いながら、自分の使った食器を流しに運び、弁当の包みを持って部屋に戻ろうとすると

「美奈、起きてた?」

と、母さんに呼び止められた。

「まだじゃね?」

「悠人、上に行くんでしょ? 美奈、起こしてきてよ。学校遅れちゃうから」

「なんだよ、面倒くせぇな。あいつ寝起き悪ぃからヤダよ」

「お願いね」

母さんは俺の返事も聞かずに、慌ただしく濡れた手をエプロンで拭きながら、バタバタと洗面所の方に走って行った。どうやら、洗濯が終わったらしい。