サクラノコエ

ところが自分で提案しておきながら、いざとなるといい名前が思い浮かばず……

理紗からさらに向けられる期待の目に焦り、咄嗟に

「愛」

と、いう名が飛び出した。

「『愛ちゃん』って、どうだろ?」

「『愛情』の『愛』?」

「うん」

「素敵!」

「じゃあ、そう呼んでいいかノートに書いて許可とっといて」

言いながら、ガードレールに浅く腰を下ろし、お絵かき帳に『愛ちゃん』に向けての手紙を書く。

愛ちゃんが何歳ぐらいの人格なのか、ハッキリ分からないが、ノートに書く文はいつもひらがならしいので、俺もひらがなで

『すてきなえを、ありがとう。
 えがじょうずなんだね。
 このえ、だいじにするね。 
   ゆうとおにいちゃんより』

と、書いてみた。

初めて書く子供向けの手紙。なんだか照れくさい。