サクラノコエ

ボクさんの話す真衣の生い立ちは、とても暗く悲しいもの。

でも、真衣本人のことをよく知らない俺にとって、それはなんとなく他人事のようで……

まるであのときに見たテレビ番組の続きのように感じた。

「真衣は……他の人格のことを……」

「分かっていないと思います。真衣は、他の人格との記憶の共有は一切ありません。ですから当然、他の人格が出ていた間の記憶が飛びます。真衣は自分が知らない時間に、勝手な行動をとっている自分が怖くなっていたようです」

「理紗も、その一人ってこと…ですか?」

俺は先を急ぐように理紗の名前を出した。

理紗を意識することで、この話が現実なのだと強く実感しなければいけないと思ったからだ。