サクラノコエ

「お前、誰?」

攻撃的な瞳に威圧されながら、俺は恐る恐る名前を聞いた。

「ルミ」

初めて聞く名前だった。

ルミは品定めでもするようにジロジロと俺を見ると、バカにするようにフッと鼻で笑った。

とても理紗と同じ顔には見えない、攻撃的で冷ややかな表情。

頭では分かっていても、人格が交代することがなかなか受け入れられない。

再び、体中にゾワゾワとした感覚が走る。

「あんた勘違いしてるみたいだから、ちょっと教えてあげようかと思って。いくら治療が進んだって、理紗だけになることなんて有り得ないってこと」

ルミと名乗る人格は、目の前に置いてあったオレンジジュースに目を留め、氷の溶けかかっているそれにストローを差しながら挑発的な口調でそう言う。